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バムルンラード健康ブログ 第16回 胃食道逆流性疾患

1月 21, 2020
受診せずに自己治療するのが適した疾患もありますが、胃食道逆流性疾患はそうではありません。週に2回以上胸焼けがするなどの胃食道逆流性疾患の症状がある場合には受診をする必要があります。
 
胃の中のものが食道を逆流して胃液が口内に入り込み、胸焼けがしたり喉に不快感を覚えたりする呑酸と呼ばれる症状は多くの人にとって経験のあることです。食べ過ぎたり満腹の時に横になったりした場合に起こり、薬局で購入できる制酸剤を使うことで一時的に酸を抑えることはできます。
 
この時折起こる呑酸が、より深刻な胃食道逆流性疾患(GERD)まで進行するには時間がかかります。週に2回以上胸焼けがする場合にはGERDであるとされ、下部食道括約筋(LES)が弛緩したり弱くなり、胃酸が食道の下部や胃と咽喉を結ぶ筋肉に逆流する慢性疾患です。
 
胃には内壁があり酸から守っていますが、食道にはそれがありません。呑酸が頻繁に起こると、やがて食道の組織細胞が破壊され、最終的にはがん細胞になる可能性もあります。
 
すぐに受診しないケース
 
様々な理由からGERDであると疑われる人の多くが、きちんと診断を受けたり医師による治療を受けずにいます。バムルンラードの消化器病学および肝臓学の専門家であるDr. Vibhakorn Permpoon医師は「GERDは胃の中のものが逆流するなど自分でも簡単に気づくことのできる症状があるので、患者さんによってGERDであると自己判断してしまうケースもあります」と説明します。
 
「自分から内視鏡検査やバリウム検査を受ける場合もあります。このようなケースでは、プロトンポンプ阻害薬(PPIs)などの制酸剤を数か月あるいはそれ以上使用しても症状が改善しないために受診するといったことが多くみられます」
 
自己診断の問題点
 
Dr. VibhakornはGERDを自己診断した場合の危険性についてこう述べます。「GERDの症状と心臓発作などもっと深刻な何かに起因する症状を勘違いすることがあります。GERDや特定の消化器疾患では心臓発作の時のような胸痛を覚えることもあります。ですから、原則として強い胸の痛みがある場合には急いで受診する必要があるのです」
 
また、場合によっては逆流はあるものの、酸が逆流しているわけではないこともあります。このような場合、GERDの治療薬を自分で購入したとしても無駄になってしまいます。「逆流があってもそれが酸ではないこともあります。酸が逆流していると感じても、実は食べ物からのアルカリ性物質が逆流していることもあり得るのです」とDr. Vibhakornは言います。
 
胸焼けは胆石や胃潰瘍、食道がんなどの症状でもありますが、場合によってはGERDであると自己診断してしまうこともあるでしょう。
 
最も多くみられるGERDの自己診断の問題点は、他の症状が治療されないままになってしまうことです。「GERDの患者によっては胃炎や便秘などの症状もあったり、また小腸内細菌異常増殖によって生じるおなかの張りといった症状があることもあります。もしGERDのみ治療した場合、その他の症状はそのまま続いてしまいます」とDr. Vibhakornは説明します。
 
治療方法と考慮すべき点
 
GERDは3つの種類の薬によって治療されます。PPIsなど酸の生成を抑える制酸剤、酸からのダメージを防ぐための薬、また食道から胃への動きを早めるための薬の三種類です。しかし、Dr. Vibhakornは生活習慣の改善こそが最も効果的であると考えます。
 
体重を落とすことや、食事の時間や食生活を変えることでGERDの症状は和らげられます。夕食の時間を早めること、夕方の間食や食後3時間は横にならないなどを心掛け、就寝前に食べたものがすっかり消化されるようにすることが推奨されます。また食べる量を少しにするなども逆流を抑えるために有効です。
 
Dr. VibhakornがGERDの治療を行う際、多くのケースにおいて長期にわたる薬の使用を避けています。「どんな薬であっても長期にわたって使用すると他の影響があります。制酸剤がGERDの症状を和らげることは事実ですが、薬局で買えるものも含めた制酸剤の服用が骨の強度を下げたり骨折のリスクを高めるなど長期にわたる影響をもたらす可能性もあるのです。またビタミン欠乏症や小腸内細菌異常増殖なども制酸剤の長期服用と関連があると考えられます」
 
切開によらない治療法
 
場合によっては下部食道括約筋(LES)に問題があり、生活習慣の改善や薬剤の使用の後も酸の逆流が治らないこともあります。このような場合には胃底皺襞形成術と呼ばれる手術によってLESを修復することが検討されます。
 
50年以上にわたり胃底皺襞形成術はGERDの外科的治療方法において最も有効なものであるとされてきました。この手法では、胃の底部を食道に巻き付けて縫い付けます。こうすることでLESの強度が高まり、酸が胃から逆流することを防ぐのです。
 
従来、胃底皺襞形成術は開腹手術あるいは開腹よりは低侵襲な腹腔鏡を用いた切開手術にて行われてきました。現在ではtransoral incisionless fundoplication(TIF)と呼ばれる新たな革新的手法があり、GERDの治療を経口で行います。TIFにおいては切開を全く行わないため、回復にかかる時間はとても短く、また術後の合併症のリスクも低くおさえられます。
 
「これまで多くの人が切開を伴う胃底皺襞形成術にためらいを覚えていました。しかし新たなTIFという手法はGERDの治療に大きな変化をもたらします。低侵襲で切開を行わなくてすむのです」とDr. Vibhakornは説明します。
 
1か月を目安に
 
GERDが疑われる場合、本当にGERDのこともあればGERDとそれ以外の何かである場合、あるいは全く異なる何かであることもあるでしょう。この「そうかもしれない」という部分が、自己診断や自己治療の難しいところです。Dr. Vibhakornは1か月を基準とするよう推奨します。もし1か月経っても症状が治らない場合には受診してより深刻な何かではないことを確かめ、きちんとした診断を受けて適切な治療を受けるようにしましょう。

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