高齢の患者さんは、滑って転倒するなど、一見すると小さな衝撃でも骨折することがあります。若い方であれば打撲や筋挫傷で済むような転倒でも、高齢の方では股関節や椎骨の圧迫骨折につながる可能性があります。その主な原因は、50代以上の方に多い骨粗鬆症による骨量の変化にあります。実際、世界では3秒に1人の割合で高齢者が骨折しているという統計があります。
2021年のデータによると、タイはすでに「高齢化社会」に分類されており、高齢の方の骨折はますます身近な問題です。タイは、ASEANの中でシンガポールに次ぐ2番目の高齢化社会国家であり、5人に1人が60歳以上の高齢者です。高齢化社会では、糖尿病や高血圧などの基礎疾患が多く、骨折につながる事故も増加します。また、健康な若い人に比べて治療が複雑になることが多く、さらに高齢であるために治療による合併症が発生する可能性も高くなります。
高齢者の骨折は、手首の骨折や軽度の椎体圧迫骨折のように、外来で治療できる場合もあります。しかし、股関節の骨折や上腕骨の骨折など、手術が必要な骨折も少なくありません。後者の場合、経験豊富な医療スタッフが綿密な手術計画を立て、特殊な機器や専門知識を必要とするだけでなく、患者さんが手術そのものを受ける準備ができているか、また手術後のリハビリテーションがうまくいくかどうか、術前に長い時間をかけて評価する必要があります。一般的には、高齢の患者さんが日常生活に早く戻れるように理学療法を行い、さらに骨粗鬆症の治療もしながら、再発を防ぐ必要があります。
これからに備えて、骨折を防ぐこと、骨を強化することも治療の一環です。また高齢の方は、骨粗しょう症について健診を受けるのもいいでしょう。
執筆:
バムルンラード病院整形外科医(外傷による骨折を専門)
Dr. Surapong Anuraklekha
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Last modify: 11月 30, 2024