バムルンラード病院は、先日記者会見「医療画像技術の進化」を開催しCEOである
Artirat Charukitpipat(薬剤師)が、革新的な臨床体験を生み出し続けるためのバムルンラードのビジョンと方向性についてプレゼンしました。バムルンラードは、最新の医療技術を導入しているという点では、タイでトップクラスの病院です。AI、ビッグデータ、ゲノミクス、サイエンティフィックウェルネスなどの先進医療技術を研究・活用し、医師や様々な医療従事者が広く医療サービスを提供できるよう支援し、その結果、安全性に関する国際基準を満たす最良の治療が実現できます。
バムルンラードの画像診断科は、AI技術を採用した最初の診療科です。デジタル時代の最前線という意味においては、今から22年前の2000年には既に、バムルンラードではPACS(Picture Archiving and Communication System)を使って医療画像、特にレントゲン画像を収集し、初めてデジタルファイルとして院内で共有するようになりました。2001年、バムルンラードは、フィルムによるレントゲン撮影に代わり、デジタル画像プレートを使用するコンピューターラジオグラフィーを採用しました。そして、スキャナーでプレートから画像を読み出してから、オンラインで共有しています。医師はそのファイルを、従来通りフィルムで印刷することも、コンピューター上に電子ファイルとして保存することもできます。2007年、バムルンラード画像診断科はデジタル検出器アレイ(DDA)を使用したデジタルレントゲン撮影に移行しました。DDAは高品質のデジタル画像を提供し、数秒でオンラインシステムにアップロードすることが可能です。スキャナーは不要となりました。
バムルンラード病院画像診断科副部長の放射線科医の
Alongkorn Kiatdilokrath医師は、バムルンラードでは現在、放射線科医が肺の異常のスクリーニング、分析、位置確認、乳がんの早期発見を支援するRadiology AIを導入したことを発表しました。Radiology AIのディープラーニングアルゴリズムは、人間の脳や神経系の働きを模した大規模な人工神経ネットワークを形成します。これにより、Radiology AIは、過去のデータに基づいてのみタスクを実行する他の形態の機械学習よりも、より正確な画像処理と解釈を提供することができるのです。さらに、Radiology AIはさらなるデータ分析を行うことができ、2021年に米国FDA(食品医薬品局)から承認されました。Radiology AIは、国際的に認められているクラウドコンピューティングプラットフォームであるMicrosoft Azureを使用しているため、安定的で正確、かつ高速に動作します。
現在、バムルンラードでは、健康診断センター、集中治療室、救急外来などで、画像診断においてAIを積極的に活用しています。画像診断におけるAIの用途は2つあります。まず、Radiology INSIGHT CXRは、年間平均10万枚の胸部X線画像を解析しています。2つ目は、Radiology INSIGHT MMGがマンモグラフィ画像の解析をサポートし、乳がんを発見することです。バムルンラードは、AIを通じて、がんをより早く、より正確に発見することが可能です。画像診断医の専門知識により、Radiology AIの技術は更に向上し、国際的で画期的な医療イノベーションを推進することが可能です。
バムルンラード病院画像診断医であるPatcharee Prasitvoranant医師によるプレゼンで、「2020年、国立がんセンターによると、タイの女性における乳がんの新規症例が18,000件、乳がんによる死亡者数は4,800人で、1日平均13人が死亡しています。乳がんは今でもタイの女性のがんの中で最も多く、その数は毎年増加しています。40歳以上の女性は、毎年マンモグラフィーを受ける必要があります。現在、バムルンラード病院ではRadiology INSIGHT MMGを使用して、マンモグラフィ画像による早期乳がんのスクリーニング、分析、診断を行っています。かつて画像診断医は、医療上の問題を画像だけで読み取り、解釈し、分析し、診断していました。しかし、医療技術におけるRadiology AIは、放射線科医が画像を分析し、診断をより正確に行うことを支援する補助的なツールです。放射線科医は、Radiology AIの結果を用いて乳がんを診断します。乳がんは、早期に診断され、すぐに治療を開始できれば、5年生存率は99%と高くなります。一方、診断が遅れると、進行度合いにもよりますが、5年生存率は86%~29%と低くなってしまいます。つまり、早期診断ができれば、治療が成功する確率が高くなるのです。」とこのAI技術の重要性を力説しました。
バムルンラード病院の画像診断医であるKuruwin Limsamutpetch医師は、「Radiology INSIGHT CXRは、診断が難しい場所に隠れた小さな腫瘍を含む悪性腫瘍など、肺の異常を発見する画像診断医のアシスタントのような存在です。」と語ります。さらに、活動性の結核の発見や、気胸などの緊急時の診断も可能です。肺と胸壁の隙間にほんの少し空気が漏れる気胸の発症時には、自覚症状がない場合や、軽い胸痛があるだけの場合もあります。画像診断医が早期に診断し、Radiology AIの結果が早く出れば、患者さんは治療の機会を逃さずにすみます。研究結果によると、早期に診断された、肺がん患者の5年生存率は73%です。しかし、診断が遅れると、その率はわずか18%に低下します。
ただし、Radiology AIは画像診断医に取って代わるものではありません。診断や放射線科医の判断を補助するツールであり、セカンドオピニオンを提供するものです。ある調査によると、60%以上の放射線技師が、肺の画像の分析を支援するためにRadiology AIが役立っていると感じていることがわかりました。Radiology AIソフトウェアは、その有効性を高めるために積極的に開発されています。Radiology AIの能力を向上させるためには、バムルンラード病院の画像診断医のフィードバックが重要です。画像診断医とAI、そして患者さんをケアする意思を含めたすべての医療チームが団結し、効果的な治療を行うことを画像診断AIは促進しているのです。また、Radiology AIは、新人画像診断技師の学習ペースを上げることにも成功しています。
Alongkorn Kiatdilokrath医師は、今後、バムルンラード病院は韓国のRadiology AI開発企業および国際的に認められた20の病院とパートナーシップを結び、Radiology AIがより速く、より正確に病気を診断できるようにすることで、その効果を高めるつもりであると結論づけています。その目的は、放射線科医がより幅広い症状を診断できるようにすることです。この提携は、AIが全人的医療を成功させるための重要な要素である現代の医療技術において、画期的な出来事となります。また、AIは世界中の人々の幸福度を向上させます。