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バムルンラード健康ブログ 第1回 大気汚染

1月 21, 2019

健康に関する気になる話題についてご紹介するバムルンラード健康ブログ。

第1回目は最近また問題になっている大気汚染について取り上げます。今回のコラムでは大気汚染による健康への影響や、どのようにすれば影響を減らすことができるかについて見ていきたいと思います。 

ニュースなどで目する機会の増えたPMという言葉。これはparticulate matter(微粒子状物質)の頭文字を取ったものです。埃や塵、すす、煙など様々な物質がこの微粒子状物質に相当します。渋滞や工事の多い都市や工場地帯で多く見られますが、舗装されていない道がある田舎などでも注意が必要です。これらの物質が小さければ小さいほど体の奥まで入り込む危険性が高まりますし、微粒子状物質が血流に入り込むと全身を回ることになり様々な健康問題につながります。


微粒子状物質の健康への影響
微粒子状物質が体に与える影響が甚大であることが近年の研究で明らかになってきています。心臓発作や不整脈、心拍数の上昇を含む心血管疾患、喘息や慢性閉鎖性肺疾患(COPD)、肺がんなどの呼吸器系疾患と微粒子状物質の関連性が指摘されているだけでなく、長期間にわたり大気汚染に晒されることによって脳の動脈が硬化したり、血圧が上昇したり、血液がドロドロになるとも言われています。
 
これらの物質による健康への影響はどんな人にとっても気がかりなものですが、以下に当てはまる場合には特に注意が必要となります。
 
  • 小児:まだ体の器官が発達段階にあるため、年齢が低ければ低いほどリスクが高いと言われています。また、大人に比べて屋外で運動などをする時間が長いこともリスクを高めます。大人と比べると喘息やその他の急性呼吸器疾患を患っている率が高いですが、これらも微粒子状物質への接触により悪化するケースが多く見受けられます。
  • 妊婦:近年の研究により、微粒子状物質への接触と早産、低体重出生や流産などとの関連性が指摘されています。
  • 高齢者:免疫機能が衰えている高齢者においては汚染による影響がより出やすくなります。また、診断を受けていなくても呼吸器疾患や心疾患を患っていることが多く、これらは微粒子状物質への接触により悪化するので注意が必要です。
  • 心疾患患者や肺疾患患者:冠動脈疾患、うっ血性心不全、喘息、肺気腫、COPDなどの心疾患や肺疾患を患っている場合には、微粒子状物質への接触によってこれらが悪化する可能性があるので気をつける必要があります。

リスクを減らすには
それでは、どのようにして微粒子状物質による健康への被害を減らすことができるのでしょうか。まずはインターネットで大気質指数(Air Quality Index、AQI)をチェックしたり、スマートフォンのアプリケーションなどで調べて大気汚染のレベルに注意を払うようにします。汚染のレベルが深刻なときには以下のことを心がけるようにしましょう:
 
  • 屋外での活動を減らす:屋外で身体を使った活動をすることにより、微粒子状物質による健康被害は高まります。そのため、運動強度を下げるあるいは屋内で過ごすようにする、汚染レベルの高い時間帯やエリアを避けるようにするなどの工夫をするようにしましょう。
  • なるべく室内で過ごす:大気汚染の状態が酷いときには、外で運動する代わりにジムなどで運動するなど、屋外活動を室内に切り替えるようにします。
  • 屋内の空気の質を高める:大気汚染のレベルが高いときには窓を閉めて過ごすとよいでしょう。部屋のサイズに適した高性能微粒子フィルター(HEPAフィルター)を使用した空気清浄機を用いたり、煙が出ないようにして過ごすなども有効です。
  • 適切なマスクを装着する:適切なマスクを、正しい方法で装着することで微粒子状物質が体内に入り込むことを防ぐことができます。N95のマスクであれば95パーセント、N99のマスクを使用すれば99パーセント防ぐことが可能です。一般に使用されている紙や布などでできているマスクでは全く効果がありませんので注意しましょう。
 
心がけることによりすぐに実行に移せるちょっとした過ごし方の変化で、微粒子状物質による健康被害を減らすことができます。大気汚染のレベルに注意するようにし、特に汚染の度合いが酷い場合には適切な対応を取るようにしたいものですね。また心血管系や呼吸器系の症状が出てきた、あるいは悪化してきたなどの場合には直ちに受診しましょう。
 

(Dr. Pratan Vathesatogkit, Bumrungrad International呼吸器科医師)
 
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